足立朝日

3周年記念リレー講演  あだち若者サポートステーション

掲載:2009年11月5日号
 若者の就労を支援する「あだち若者サポートステーション」の3周年を記念して、リレー講演会が10月3日、施設のある東京芸術センターの天空劇場で開かれた。
 区と民間の協働事業としてスタート。パソコンや就労関係の資料をそろえ、若者が利用しやすいように同年代のスタッフが、気軽に相談や雑談などを受けられる体制を確立。支援に有効なネットワーク作りも全国からの注目度が高い。
平成18年の開設以来、年間6000人の若者が利用しているが、経済状況が悪化する中、就職が決まるのは内200人弱という厳しい現状もある。全国的に就職が困難な若者たちの原因の多くに低学歴があり、成績は親の収入に比例しているとのデータがある。そのため、貧困の連鎖を止めることが重要課題とされている。
 放送大学の宮本みち子教授が「働けない若者を生み出さないために」をテーマに講演。宮本教授によると、一番就職が困難なのは定時制の生徒で、そこには社会の問題が凝縮されているという。また今の日本は、かつてないほど子どもの貧困率が上昇している実態を挙げ、「就職できないのは意欲がないからと大人は言うが、環境が整わないと意欲は出ない。今の若者はどうせ自分には何もできない、など自分が大切だという意識がなく、対人不安を抱える人も多い」と若者自身が抱える問題の対応の必要性などを説いた。
 リレー講演では大成倉庫㈱常務取締役・小林康一氏、区主任児童委員・小泉貞廣氏、区青少年委員会会長・櫻井忠義氏が「社会が若者を育てる」のテーマで挨拶の大切さ、家庭の抱える問題を真しに聞く姿勢の大切さ、地域の治癒力などについて語った。

写真=講演する宮本教授