足立朝日

この本

掲載:2010年1月5日号
①『ココ・シャネル/時代に挑戦した炎の女』エリザベート・ヴァイスマン著/翻訳・深味純子/阪急コミュニケーション刊/1400円(税別)
 20世紀モード界の女王/ココ・アヴァン・シャネルが、初めてパリに店を開いてから来年で100年。その生涯が映画や舞台になり、最近はシャネル・ブームの到来。家庭的に恵まれず、孤児院で育ったシャネルが一大ブランドを立ち上げるまでの軌跡は衝撃的だ。同書の翻訳を手掛けた深味は、シャネルに心を添わせ、明解な日本語でその人生を解き明かした。読後に「生きる力」が湧き上がるような優れた必見の翻訳本だ。

②『俳句回廊』太田かほり著/角川書店刊/1600円(税別)
 現在、大学で「日本語表現法」「日本語文章作法」を教える著者が、かつて中高で教鞭を執った時期に、俳誌「浮野」に連載した詩歌論的俳句観賞。文学としての俳句を、東西の文化的・芸術的観点から論じているが、著者のたおやかな感性と凛とした知性溢れる同書は、観賞というよりも一つの創作として楽しめる。国際化時代に合った海外詠も多く盛り込まれ、優れた表現に対する著者の驚きや喜びが心に伝わる。目次の短いタイトル全ても言葉が研ぎ澄まされ、「日本語の美しさ」が光り輝く。
★①②をそれぞれ1名の読者にプレゼント。応募方法はプレゼント参照。