足立朝日

生物園の蝶がアメリカのバタフライショーに展示  五色桜も海を渡る

掲載:2010年5月5日号
 足立区生物園(保木間2-17-1)で飼育した蝶が、米オハイオ州シンシナティの私立クローン植物園で開かれている「バタフライショー2010」(4月17日~6月20日)に展示され、足立区との不思議な縁から、桜も贈られた。
 区生物園から送られたのは、オオムラサキなど5種750~1000匹。昨夏、採集してきた蝶に卵を産ませて孵化時期を調整するなど、生物園として初の試みとなった。
 クローン植物園でボランティア活動をしている現地トヨタ自動車社員の安藤桃貴子フリーマンさんは、実は足立区と縁の深い人物。
 安藤さんが通訳として昨年、アンドレア・シェプマン植物園所長ら視察団と来日し、区長を表敬訪問した際、「江北の五色桜―荒川堤の桜ガイドブック―」(江北村の歴史を伝える会発行・浅香孝子会長)を見て、會祖父の肖像画が載っていることにビックリ。その人物こそ里桜研究の第一人者で、江北の荒川河川敷五色桜の植樹に尽力し、1912年、日米友好のシンボルとしてワシントンのポトマック公園に贈る桜と江北の五色桜を結んだ、三好学帝国大学教授だった。「ぐるっと回って何十年も経って、再会した気持ち」と安藤さん。
 シンシナティの前州知事が、桜を寄贈した当時の大統領・タフト氏の孫という事実も判明し、機運は一気に高まった。
 里帰り桜から採取した7品種10本の桜のさし穂を寄贈。また、「外国人には雑音にしか聞こえない虫の音を愛でる文化を教えたい」という視察団の要望で、鈴虫の卵300個を輸送した。
 4月30日に現地で開かれたガーデンパーティーには、榎本太郎・生物園園長、関根雅史・同解説員、岡本明久・同飼育員、浅香孝子・江北村の歴史を伝える会会長、佐藤貞子・同会員が出席した。

写真=上/バタフライショーのポスター
中/生物園で生まれた美しいナミアゲハ
下/蝶の輸送を担当した吉田豊和さん(中央)をはさんで、左から浅香さん、
岡本さん、安藤さん、関根さん=生物園で