
都立高校では珍しいボクシング部が出来たのは、2年前。部員は佐藤さん1人だけで、同好会として始まった。当時はサンドバックもなく、ボクシング経験のある髙松久一顧問のもと、自主練習の日々。2年目に2年生2人が入部したことで活気づき、今は女子1人を含む7人の部員が所属する。
今年1月、高橋秀樹同窓会会長の紹介で、ボクシング経験豊富な地域の人がボランティアで指導についてから、急成長した。髙松顧問も「努力して何かを手に入れる、いい経験になっている」と、部員たちの頑張りを喜ぶ。
佐藤さんはライトフライ級。これまでもサッカーや野球など様々なスポーツを経験したが、初めて長く続いたのがボクシングだという。練習相手がいなかった1年目の夏休み、ボクシングジムでのスパーリング(打ち合い)中、レベルが上の相手のパンチを受けて負傷し、辞めようと思ったこともあった。「続けたら今のいい環境になった。難しいけど、勝った時の達成感は、他のスポーツにない快感がある」。プロを目指したいと語る。
ミドル級の橋本さんは中学時代、1年間バスケ部だったが、格闘技をやろうと入部。地道な練習で、90㎏あった体重は75㎏にまで絞られ、マラソン大会で2位の好成績も。「ジャブやストレートを教えてもらっているうちに強くなっていくので、やりがいがある。いろいろな格闘技がやりたい」と夢が広がる。
6月13日~20日のインターハイ予選を目前に、佐藤さんは「勝ちにいきたい」、橋本さんは「優勝じゃないと意味がない」と熱い闘志を漲(みなぎ)らせていた。

写真=上/リング代わりのレスリング用マットの上で、スパーリング練習をする佐藤さん(右)と橋本さん(中央)
下/インターハイ予選に向けて闘志を燃やす佐藤さん(左)と橋本さん