足立朝日

3カ国語を話す太神楽曲芸師

掲載:2017年5月5日号
鏡味 味千代 さん 区内在住
「個性」の意味を知った日本文化

「回せるものならば何でも傘の上で回してしまう」「あごに棒を立て、その上に2つの毬を重ね、さらに棒を立てて物を乗せる」等々、熟練の技を軽々と披露するのは太神楽曲芸師の鏡味味千代さんだ。
 国際基督教大学で学んだ鏡味さんは、フランス語・英語も堪能。大手PR会社で激務をこなしていた29歳のころ、父親から新宿末廣亭に誘われて、鏡味仙三郎社中の太神楽と巡り会った。「約千年の歴史をもち、言葉や世代を超え、人の幸せを祈るハッピーな芸」に魅せられて寄席通いをスタート。
それからの太神楽へののめり込み方がすごい。国立劇場の「太神楽研修生募集」のチラシにピンときたが、応募資格は「23歳以下」。「例外」を求めて日本芸術振興会の津田和明理事長(当時)に手紙をしたためる勢い。その甲斐あって2007年、めでたく国立太神楽養成所研修生の座を勝ち取ったが、この時既に30歳。エリート人生をアルバイト生活に転換することにはなったが、太神楽のみならず笛・太鼓・三味線・日舞などを名人に習う楽しさとうれしさが勝り、苦しみながらも「継続は力なり」の精神でひたすら練習の日々を過ごした。
その中で受けたカルチャーショック。「三味線の糸を耳と勘で調整する時、指2本分とか手のひら一つ分とかの表現をするんです。それは人によって違う訳ですが、それが『個性』だと言われてびっくり! 自分の持っているものを最大限に活かすことが『個性』だと考える日本文化の奥深さに触れて、目を開く思いでした」
3年間の研修後、落語芸術協会で前座修行をスタートし、2011年、遂に浅草演芸ホールで高座デビュー! 流暢なトークに乗せて贈る神業が人気を博している。「仕事は確かに不安定。でも、自分の脚で立っている充足感があり幸せ。夢は太神楽を外国にも広めること」と常に前向きだ。区内で太神楽披露経験はあるが、「さらに多くの足立区の皆さんに」と望む。ぜひ一度、実物をご覧あれ!
まずは【花形演芸会】5月21日(日)午後1時開演、国立演芸場。