足立朝日

「夢工芸 染の新井」ギャラリー 奥村浩志さん作「奥の細道」切り絵を展示中

掲載:2019年11月5日号
 岸壁で激しく砕ける波、静謐の中にそびえ立つ寺社、双龍のごとく天へ伸びる松――松尾芭蕉ゆかりの風景が息吹と躍動感をもって目の前に迫ってくる。切り絵とは思えない奥行きのあるダイナミックな構図は圧巻だ。
 呉服店「夢工芸 染の新井」(西新井6‐46‐8、TEL3854・2777)4階のギャラリーに、10月26日(土)から展示されている。
 店主の新井重男さんは、これまでにも同店の専属友禅作家・小森脩氏に依頼して「奥の細道」の貝合わせを制作、展示するなど、日本の伝統文化や芸術の魅力を独自に発信。「商売とは関係なしに、素晴らしい作品を皆様に見ていただきたい」と店舗4階をギャラリーにして公開している。
 「奥の細道」の切り絵を制作したのは奥村浩志さん(77/春日部在住)。谷崎潤一郎の挿絵などで知られる宮田雅之氏(1926―1997)の作風を継承する切り絵作家だ。
 子どもの頃から絵を描くのが好きだった奥村さんは、日本橋の呉服問屋時代、宮田氏とともに切り絵を柄にした浴衣を制作したのを機に、切り絵の制作を開始。06年に同社役員を退任後、作家として専念し活動している。
 「私の作品のテーマは、心をいやす切り絵。四季ごとに作っている」と奥村さん。切り絵本体には柾紙という珍しい和紙を黒く染めたものを使い、背景には柄の入った和紙を貼る独自のスタイルを確立。臨場感ある画面を生み出している。
 知人を通じて奥村さんの作品と出会った新井さんは、「絵心があるからこそできる切り絵」と惚れ込み、10月26日(土)~11月3日(日・祝)、「奥の細道を行く 奥村浩志の刀先絵の世界」を同店ギャラリーで開催。展示会は終了したが、作品数を減らして11月末まで常設展示している。
 また奥村さんの作品は、11月19日(火)~24日(日)「第41回日本きりえ美術展」(東京都美術館)にも出展される。
◆「夢工芸 染の新井 ギャラリー」=TEL3854・2777。午前10時~午後7時、水曜休、入場無料。日暮里・舎人ライナー「西新井大師西駅」徒歩5分、はるかぜ(区役所~西新井駅東口~都市農業公園)「水野病院前」すぐ

写真上/切り絵作家の奥村さん(左)と店主の新井さん=染の新井ギャラリーで
下/切り絵で描かれた千住大橋旅立