足立朝日

モダンバレエダンサー 所夏海さん

掲載:2009年12月5日号
六月1丁目在住

踊りで何かを感じさせたい


 170㎝の長身がしなやかに舞い、長い手足が軌跡を描く。静と動を自在に操るダンスは、空間を非日常の世界へと変える。
 07年の全国洋舞コンクールで優勝するなど、これまでに数々の賞を受賞。文化庁の「本物の舞台芸術体験事業」でも活動し、上沼田小学校では子どもたちの前で踊った。

 小さい頃からモダンバレエを習い、高校生の時はバックダンサーを目指してスクールメイツに在籍していたが、長身のため出番には恵まれなかった。英文科を勧める親の反対を押し切って、日本女子体育大学のダンス専攻に進学。金井芙三枝氏に師事した縁で、内田香氏主宰のダンスカンパニー「Rousse waltz(ルッシュワルツ)」に所属。そこで「自分で創作し、自由に表現していける世界の方が楽しいと思った」という。
 ジャンルは問わず、ジャズ、ヒップホップ、クラシックもこなす。「なんでもやるダンサーでいたい。ソロだけでなくバックダンサーも。単に踊りが好きなんです」と、照れ臭そうに笑う。
活動の幅は広い。9月に帝国劇場の「ダンス・オブ・ヴァンパイア」で、アンサンブルとしてミュージカルに初出演し、歌にも挑戦した。「モダンやコンテンポラリーを見に行くきっかけになれれば」。日本ではまだ認知度の低い芸術的ダンスをもっと見て欲しい、との思いがある。
 今年度、狭き門の「文化庁新進芸術家海外研修生」に選ばれ、この12月からパリで1年間学ぶ。現地では、昨年サイトウ・キネン・フェスティバルのオペラ出演で知り合った振付師リオネル・オッシュ氏に師事する。「自分の人生って、出会いが大切だなと感じる」。家族、先生、バイト先の人など、ダンス中心の生活を支えてくれた周囲への感謝を、常に忘れない。「ダンスは人間性が出ると思うので、パリでは自分自身がいろいろと感じて引き出しが増えたら」。
 目指すダンサーとは「踊っている私を見て、ということより、私が踊っていることによって何かを感じたり見せられる人になりたい。前はいかにきれいに、とか良い自分を見せられるかを考えていたけど」。ゆっくりと言葉を選んで語る目は、凛と涼やかで力強い。
踊った場所に、見た人の記憶の残像が刻みつけられるような、空間と時間を超えた存在感を持ったダンサー。そんな彼女に会える日は近いだろう。