掲載:2006年7月5日号
新派の華、水谷八重子が再びシアター1010に登場する。今回の作品は、北條秀司の喜劇の最高作といわれる「江戸みやげ・狐狸狐狸ばなし(二幕)」。1010新派で演技力が注目された松村雄基、宮川浩が共演する。
江戸吉原田圃に、上方流れの女形・伊之助(松村)が、手拭い職に就きながら、千住で女郎をしていた「おきわ」(水谷)と暮らす。家事一切を黙々とこなす伊之助を横目に、おきわは昼間から茶碗酒を浴びる始末。さらに裏手の閻魔堂住職の重善(宮川)と密通。千住の金持ちの娘おそめ(小川恵莉)が重善に惚れていることを知ると、おきわは重善に「女房にしろ」と迫る。「それなら伊之助を殺してこい」とうそぶく重善の言葉を真に受けて、おきわは伊之助を毒殺。ところが死んだはずの伊之助が、重善と一緒のおきわを迎えに来る。恐怖に、おきわは気がふれるが……。
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掲載:2006年6月5日号
太平洋戦争末期、海軍の「神風」、陸軍の「振武隊」など様々な「特攻隊」により、20歳前後の若者たち四千数百人が、未来ある命を散らした。
ここは、シアター1010の稽古場。片隅にピアノと跳び箱とボールが置かれ、小学校の体育館をイメージさせる。演目は「ピアノのはなし」。京楽座主宰の俳優・中西和久が音楽教師・上野歌子の話を元に脚本を書き、コンサートドラマとして演じ続けている作品である。出演者は中西とピアニストの遠藤有子の2人。
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掲載:2006年5月5日号
宮沢賢治原作「銀河鉄道の夜」が、この20日から遂にシアター1010で上演される。台本は脚本界の重鎮・市川森一、たおやかな詩人的演出家の中村哮夫、劇場音楽の第一人者・甲斐正人、舞台美術の大御所・朝倉摂らが総力を結集。演じるのはミュージカル劇団「わらび座」。秋田の「たざわこ芸術村」にある「わらび劇場」を拠点に1年間ロングラン後、日本全国で400回近く上演。今回、シアター1010初の1カ月公演を行うが、教委の呼びかけで区内小・中学校60校が観劇。
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掲載:2006年4月5日号
唐十郎の「秘密の花園」が4月15日(土)~30日(日)、シアター1010で上演される。同作品は、唐がニューヨーク滞在時に、なぜか「日暮里」をイメージして、下北沢・本多劇場の開場記念公演(82年)のために書き下ろした力作。今回の上演にあたり、その顔ぶれの豪華さも話題になっている。
日暮里のアパートに住むキャバレーの女・一葉(いちよ)と、その姉・双葉(もろは)の2役を、ベテラン大女優の三田佳子。一葉のもとへ通い詰めながら結ばれない愛人を松田洋治。一葉の裏悲しい夫を大澄賢也が演じる。その他、唐作品ではお馴染みの金守珍(キム・スジン)、十貫寺梅軒、大久保鷹ら。演出・三枝健起、美術・朝倉摂、音響・高橋巖、照明・沢田祐二、音楽・三枝成彰ら、超一流スタッフ。プロデューサーは、三田の夫でもある高橋康夫。シアター1010館長・市川森一と、三枝(健)、高橋は、大河ドラマなどで長年タッグを組んできた仲間。踊り子役で唐の14歳の娘・大鶴美仁音(みにおん)が、今作品でデビューするというトピックスも。
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掲載:2006年4月5日号
唐十郎の「秘密の花園」が4月15日(土)~30日(日)、シアター1010で上演される。同作品は、唐がニューヨーク滞在時に、なぜか「日暮里」をイメージして、下北沢・本多劇場の開場記念公演(82年)のために書き下ろした力作。今回の上演にあたり、その顔ぶれの豪華さも話題になっている。
日暮里のアパートに住むキャバレーの女・一葉(いちよ)と、その姉・双葉(もろは)の2役を、ベテラン大女優の三田佳子。一葉のもとへ通い詰めながら結ばれない愛人を松田洋治。一葉の裏悲しい夫を大澄賢也が演じる。その他、唐作品ではお馴染みの金守珍(キム・スジン)、十貫寺梅軒、大久保鷹ら。演出・三枝健起、美術・朝倉摂、音響・高橋巖、照明・沢田祐二、音楽・三枝成彰ら、超一流スタッフ。プロデューサーは、三田の夫でもある高橋康夫。シアター1010館長・市川森一と、三枝(健)、高橋は、大河ドラマなどで長年タッグを組んできた仲間。踊り子役で唐の14歳の娘・大鶴美仁音(みにおん)が、今作品でデビューするというトピックスも。
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掲載:2006年3月5日号
3月4日から、区民待望の「梅沢武生劇団・梅沢富美男のスペシャルライブ」がシアター1010で始まった。ご存知、心ときめく立ち姿の座長は、兄の武生、艶やかな女形は弟の富美男。千住と梅沢劇団の縁は深い。千住寿町にあった「寿劇場」は、剣劇の大スターであった父故・清と、娘歌舞伎出身の母故・竹沢龍千代が、40年前に大衆演劇の拠点として演じていた懐かしい場所。今回、当時と同じ気持ちに戻ってシアター1010の舞台に立つために、チラシにも「原点」の2文字を刷り込んだ。
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掲載:2006年2月5日号
足立区出身の名女優・小川眞由美が、ふるさとの舞台に立つ。2月17日(金)~26日(日)、シアター1010で上演される「ベルナルダ・アルバの家」(平成17年度芸術文化振興基金助成事業、18年都民芸術フェスティバル参加公演、シアター1010製作)で、残酷なまでに誇り高い名家の女主人・ベルナルダを演じる。スペインの偉大な詩人で劇作家のフェデリコ・ガルシア・ロルカのこの作品(訳・田尻陽一)を、高瀬久男が演出。美術は朝倉摂、照明は沢田祐二という豪華スタッフ。アングスティアス(富沢亜古)、マグダレナ(かんのひとみ)、アメリア(入江純)、マルティリオ(鬼頭典子)、アデラ(占部房子)ら5人の娘をはじめ、母親(竹田恵子)の人生まで自分の手の中に納めようとする冷酷なベルナルダ。娘たちへ非情な言葉を浴びせ、プライドと心をズタズタに引き裂く。ベルナルダに尽くすラ・ポンシァ(山本道子)や女中(中川雅子)、村人の誰にも心を許さず、己の生き方のみを信じる。
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掲載:2006年1月5日号
ファン待望の白石加代子「百物語」が、シアター1010の特別企画として、同劇場で上演される。2月9日(木)は、浅田次郎「うらぼんえ」、阿刀田高「干魚と漏電」、和田誠「おさる日記」の特別編。10日(金)は第二十三夜として、夢枕獏「首」、朱川湊人「栞の恋」。両日共に午後7時開演。
構成・演出は、「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」などのテレビドラマの名作も手がけ、エッセイストとして著書が多い鴨下信一。プロデュースは「奇跡の人」「身毒丸」「クラリモンド」などのヒット作品を手掛けてきた笹部博司。この三者の感性の融合が、怪しげで悲しく愛しい舞台を創り上げる。
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掲載:2005年12月20日号
シアター1010初春新派公演が、1月3日(火)~9日(月)まで同劇場で行われる。演目は、久保田万太郎・作、青井陽治・演出の下町情緒たっぷりの「ふりだした雪」。舞台は、昭和初めの深川。薄幸の「おすみ」(波乃久里子)は、煙草屋を兼ねた荒物屋の伯父「傳蔵」(柳田豊)の家でひっそりと暮らす。そんなおすみを見初めた「治平」(松村雄基)と、別れた夫「柳太郎」(六平直政)との葛藤を知らず、伯父のために静かに縫い物に没頭するおすみ。ふりだした雪が、それぞれの悲しい運命を象徴する。何気なくも研ぎ澄まされた台詞の応酬が、すれ違う男と女の心の機微や、脇役の男性陣の存在にもスポットライトを当てる。万太郎作品特有の「間」の取り方が課題となる秀作を、各役者がどのように演じるか期待。
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掲載:2005年12月5日号
漆黒の空間に満天の星が輝き始めると、会場からは感嘆の声がさざ波のように広がる。舞台上には群集が現れ、「ケンタウルス星祭」が始まる。色とりどりの仮装で歌い踊りながら、観客を「銀河鉄道の夜」へと誘う。
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